タリアで一番行ってみたい街はどこですか?と問われたら「それはヴェネツィア」と答える方は多いでしょう。この町を表現するフレーズはどこよりも多い、 「アドリア海の真珠・女王」「水の都」「世界で唯一の海に浮かぶ街」「海に浮かぶディズニーランド」など、いずれも言い得ていますね。三日月型のゴンドラに乗って運河からサンマルコ広場を見上げれば翼を生やしたライオンが見える。カーニバルでは仮装した人々が街にあふれ、中世にタイムスリップしたような気分に浸れる。ヴェネツィアの魅力は限りがありません。


都市名の語源が歴史を物語っています:5世紀、フン族がイタリア半島に侵入してくると、それから逃れた人々がアドリア海のラグーナ潟に次々と定住するようになった。元々住んでいた漁民たちはこうした移民に対して、またもや(エティアム)やってくる(ウェニ)「ウェニ・エティアム」と言って迷惑がっていた、この言葉がヴェネツィアに変化した。・・信憑性が薄い説ですが面白い


150を超える運河が177の島々を分け、それらを400の橋でつないだラグーナ潟の上に築かれた海上都市 5世紀に外敵から身を守るために人々が住み始めました、13世紀海運国家として東地中海に君臨。

大運河(カナル・グランデ) 3800m 幅30-70m 逆S字型に湾曲している 16世紀~貴族たちが豪奢な住居を建てる場所となり、豪華な建物がほとんど途切れることなく続く、この連続する素晴らしい光景の中では、「ゴシック・ルネサンス・バロックなどすべてのレパートリーが、繊細な細工や尖塔アーチなどを持つ。ヴェネツィア独自の様式に置き換えられている」と言われます。運河沿いにヴァポレットを乗りこなし、町なかの小道に入って、この迷宮を歩き回る(日頃、方向感覚のある人もきっと道に迷うことを約束します)

 




ヴェネツィア自治体の取り組みを紹介します、日本の原風景『白川郷』の問題とも重なります。


コロナ禍下での最初のロックダウンは2020年3月上旬。その1週間から10日後には、WebニュースやSNSに「ヴェネツィアの運河が綺麗になった」「水が透明だ!」「運河の魚が見える!」「こんな綺麗な運河は見たことがない!」との記事や投稿が掲載され始めました。

ラグーン上に形成された都市ヴェネツィアでは、小さな島々が橋で結ばれており、移動手段は徒歩か運河しかありません。普段のヴェネツィアの運河は水上バス、水上タクシー、ゴンドラで溢れかえっていましたが、移動がロックダウンにより制限されたことで、運河に静けさが戻ってきたのです。ヴェネツィアでは、運河の汚染は日常生活の質に直結しています。気温があがる夏場には潮の流れによって悪臭に悩まされる日もあり、また、春と秋にはAcqua Alta(アックア・アルタ)と呼ばれる高潮が満潮時に発生して、汚れた運河の水で建物の地上階部分が水浸しになることもあります。

もちろん、ヴェネツィアには長い歴史の間に考案・改善されてきた独自の下水システムがあり、ホテルやレストラン、美術館、病院、オフィスなどのすべての企業には浄化槽の設置が義務付けられています。それでも運河に流れ出る排水はあり、加えて大量の観光客が気軽にポイ捨てするゴミや、近年人気が右肩上がりのクルーズ船の航行などで、ヴェネツィアの運河は常に汚れている状態でした。コロナ禍の恩恵として思いがけず運河の美しさを目にしたとき、ヴェネツィア住民はいかに観光産業によって環境が悪化していたのかということを再認識したのです。


住民の数と観光客の数の不均衡(ヴェネツィア市広報)

観光客の増加傾向が続くなか、一方で住民数、特に観光客が訪れる歴史的中心部と島しょ部の人口は年々減少し、過疎化が進んでいます。住民が減少している原因として挙げられるのが、ヴェネツィアが他の観光地に比べて、観光客と住民がかなり頻繁に同じスペースを共有しているということです。

• 押し寄せる観光客による公共交通機関の混雑

• 住民が生活するためのプライベートスペースの減少

• 住民のための各種サービスや家賃の高騰

• 住民の誇りである歴史的文化遺産の劣化

これらが住民のヴェネツィアからの「逃亡」を後押ししています。

観光産業の発展はその地域にお金を落としますが、住民が観光客を「多すぎる」と認識している場合、それは「観光公害」にもなりうるのです。歴史的中心部への観光客の集中・過密を防いで観光公害を解消し、観光客とヴェネツィア市民の日常生活との共存を目指そうという動きが進んでいます。コロナ禍で観光客の訪れが少ない現在を「歴史的好機」と捉え、インターネットなどを通して将来の訪問者を啓蒙していきます。

観光客の意識向上キャンペーン(ヴェネツィア市)

持続可能な観光都市に向けての新しいページをめくるのか。それとも、パンデミックが収束したら何もなかったかのように元に戻り、オーバーツーリズムの弊害を甘受しながらも進んでいくのか。この美しい街がオーバーツーリズムの代名詞を卒業し、持続可能な観光を実現することを願いつつ、今後もその取り組みを追い続けていきたいと思います。

1.歩行者の通行を容易にするために、常に右側を歩き、写真を撮るために橋に立ち止まるのはやめましょう。

2.許可されている飲食店が提供するスペース以外では食べ物や飲み物を消費することは避けましょう。

3.街の歴史的、芸術的遺産を尊重し、地面にゴミを捨てないでください。ハトに餌をやったりしないでください。

4.予想混雑レベルに関する情報を参照して、比較的混雑していない期間を選んで訪問しましょう。

5.固定化されたヴェネツィア観光の概念とは異なった視点でのツーリズムを広め、人で溢れたお決まりの観光コースではないものも楽しんでもらう。